海外旅行のネット環境、何から準備すればいい?ゼロから分かる通信手段ガイド
海外でスマホが使えないと、何が起きるか
初めての海外旅行、楽しみな反面、「スマホってちゃんと使えるのかな」という不安はありませんか。
筆者は34歳のIT企業勤務で、これまで32か国に渡航してきました。そのなかで何度も見てきたのが、空港に着いた瞬間にスマホが使えなくなって困っている旅行者の姿です。
海外でスマホが使えないと、具体的にこういうことが起こります。
- Googleマップが開けず、空港からホテルへの行き方がわからない
- 翻訳アプリが使えず、レストランで注文ができない
- Grab(東南アジアの配車アプリ)やUberが呼べず、タクシーの交渉が必要になる
- LINEが使えず、家族に「無事に着いた」と連絡できない
- 調べものができず、観光スポットの営業時間や行き方がわからない
不安ですよね。大丈夫です。この記事を読んで出発前に準備しておけば、こうした心配はなくなります。
海外でスマホを使うための4つの方法
まず全体像から。海外でスマホをインターネットにつなぐ方法は、大きく分けて4つあります。
1. eSIM(イーシム)
スマホに最初から組み込まれている「デジタルSIMカード」を使う方法です。アプリで購入して、画面の案内に従って設定するだけ。物理的なカードの差し替えは不要で、設定が終われば海外に着いた瞬間からスマホが使えます。
2. 現地SIMカード
渡航先の空港や街中のショップで、その国専用のSIMカード(小さなICチップが入ったカード)を買って、スマホに入れる方法です。料金は安いですが、店員さんとのやりとりが必要で、SIMカードの差し替え作業も自分で行います。
3. ポケットWiFi(持ち運び型WiFiルーター)
手のひらサイズのWiFi機器をレンタルして持ち歩く方法です。電源を入れれば、スマホをその機器のWiFiにつなぐだけで使えます。スマホ側の設定変更がほとんど不要なので、機械が苦手な方にも向いています。ただし、端末の充電が必要で、荷物が増えます。
4. フリーWiFi(ホテルやカフェの無料WiFi)
ホテル、空港、カフェなどで提供されている無料のWiFiです。費用はかかりませんが、使える場所が限られるため、外を歩いているときには通信できません。また、セキュリティ上のリスクもあります(フリーWiFiの注意点はこちら)。
結論を先にお伝えします
2026年の時点で、初めての海外旅行なら、eSIMをおすすめします。
理由は3つです。
- 出発前に自宅で設定を済ませられる。空港に着いた瞬間から使える
- 物理的なSIMカードの差し替えが不要。今使っている日本のSIMはそのまま
- 料金が手頃。アジア7日間で1,200〜2,500円程度
「でも、設定が難しそう…」と感じるかもしれません。その気持ちはよくわかります。ただ、実際にeSIMを使ったことがある人のうち83%が「設定は簡単だった」と回答しています。やることは、アプリでeSIMを買って、画面の指示に従ってQRコードを読み取るだけです(設定手順の詳しい解説はこちら)。
ただし、eSIMにはひとつだけ前提条件があります。お使いのスマホがeSIMに対応している必要があるという点です。この確認方法は、次のセクションで説明します。
eSIMとは何か、ゼロから説明します
「そもそもSIMカードって何?」という方もいると思いますので、最初から説明します。
スマホが電話やインターネットを使えるのは、スマホの中に「SIMカード」という小さなカードが入っているからです。日本で普段スマホを使えているのも、ドコモ・au・ソフトバンクなどのSIMカードがスマホに入っているおかげです。
eSIMは、このSIMカードを「デジタル化」したものです。物理的なカードではなく、スマホに最初から内蔵されたチップに、通信情報をダウンロードして書き込みます。
つまり、カードを差し替えなくても、アプリの操作だけで「海外の通信回線を追加」できるということです。
お使いのスマホがeSIMに対応しているか確認する方法
iPhoneの場合は、「設定」→「モバイル通信」を開いてください。「eSIMを追加」という項目が表示されていれば対応しています。iPhone XS / XR(2018年発売)以降の機種であれば、基本的に対応しています。
Androidの場合は、「設定」→「ネットワークとインターネット」→「SIM」を開いてください。「SIMをダウンロード」という表示があれば対応しています。Google Pixel 4以降、Samsung Galaxy S20以降などが対応機種です。
もし対応していない場合でも、ポケットWiFiや現地SIMカードという選択肢がありますので、心配はいりません。
eSIMの選び方(迷ったらこの2つ)
eSIMのサービスはたくさんありますが、初めて使う方は、まず以下の2つから選べば間違いありません。
trifa(トリファ)は、日本企業が運営する日本語対応のサービスです。アプリの画面もサポートもすべて日本語なので、英語が苦手な方にも安心です。
Airalo(エラロ)は、世界最大手のeSIMサービス。対応する国・地域が200以上と多く、料金もリーズナブルです。アプリは日本語に対応していますが、サポートは英語が中心になります。
どちらを選ぶか迷ったら、安心感を優先するならtrifa、費用対効果を重視するならAiraloがよいでしょう。どちらも出発前にスマホアプリで購入・設定まで完了できます。
各サービスの料金やプランの詳しい比較は、eSIMサービス比較ページにまとめてあります。
「何GBのプランを選べばいいかわからない」という方は、データ容量の目安ガイドを参考にしてください。地図とメッセージアプリが中心なら、1日500MB〜1GBが目安です。
eSIM以外が向いている人
eSIMがすべての人にとって最適というわけではありません。以下のケースでは、別の方法を検討してみてください。
家族4人以上での旅行の場合、ポケットWiFiを1台レンタルしてみんなでシェアするほうが、一人ひとりeSIMを設定するよりも手軽で、費用も抑えられることがあります(eSIMとポケットWiFiの比較はこちら)。
eSIM非対応のスマホをお使いの場合は、現地SIMカードかポケットWiFiが選択肢になります。現地SIMカードは差し替えの手間がありますが料金は安く、ポケットWiFiはスマホ側の設定変更がほぼ不要です。
「スマホの設定を触るのが本当に苦手」という方は、ポケットWiFiが向いています。電源を入れて、スマホのWiFi設定から接続するだけです。普段自宅でWiFiを使っている方なら、同じ操作です。
VPNって何?自分に必要?
VPN(ブイピーエヌ)は、インターネット通信を暗号化して安全にする仕組みのことです。ここでは、「自分に必要かどうか」だけ把握していただければ大丈夫です。
中国に行く方は、VPNが必須です。中国ではLINE、Instagram、Google、YouTubeなどが使えないため、VPNを使ってこれらの制限を回避する必要があります。
中国以外の国に行く方は、「あると安心」くらいの位置づけです。フリーWiFiを使うときにVPNをオンにしておくと、通信が暗号化されてセキュリティが高まります。ただし、eSIMで自分専用の通信回線を使っている場合、フリーWiFiを使う場面は限られるため、必須ではありません。
VPNサービスの選び方は、VPN比較ページにまとめてあります。
出発前チェックリスト
出発前に以下の5つを確認すれば、現地で通信に困ることはまずありません。
- スマホがeSIMに対応しているか確認する(非対応ならポケットWiFiを予約する)
- eSIMを購入・設定する、またはポケットWiFiの受け取りを済ませる
- 日本のキャリア回線の「データローミング」(海外でもデータ通信を行う機能)をオフにする(設定方法はこちら)
- Googleマップのオフラインマップをダウンロードしておく(WiFiがなくても地図が見られます)
- 海外旅行向けのクレジットカードを確認する(おすすめクレカの比較はこちら)
スマホの海外向け設定をもっと詳しく知りたい方は、スマホ海外設定ガイドも合わせて読んでみてください。
渡航先別のおすすめ通信手段
「結局、自分の行き先ではどれがいいの?」という方のために、主要な渡航先別のおすすめをまとめます。
韓国・台湾・タイなどアジア近隣国は、eSIMが最もおすすめです。到着した瞬間から通信でき、料金も3日間500〜1,500円程度と安価です。これらの国はeSIMの通信品質も安定しており、初めてのeSIMでも失敗しにくい渡航先です。
ハワイ・グアムはeSIMまたはポケットWiFiのどちらでも快適に使えます。レンタカーでの移動中にGoogleマップのナビを使う場面が多いため、安定した通信手段を用意しておくことが重要です。ドライブ中にスマホを同乗者にも使わせたい場合はポケットWiFiが便利です。
ヨーロッパは、複数国を周遊する場合にeSIMの「ヨーロッパプラン」が便利です。国ごとにSIMを買い替える必要がなく、1枚のeSIMで複数国をカバーできます。Airaloやtrifaにヨーロッパ向けのリージョナルプランがあります。
中国は注意が必要です。中国ではLINE、Google、Instagram、YouTubeなどが使えないため、VPNの準備が必須になります。中国用のeSIMは「VPN内蔵型」を選ぶか、別途VPNアプリを入国前にインストールしておいてください。詳しくは中国eSIMの選び方で解説しています。
eSIM設定でよくあるつまずきポイント
「eSIMは簡単」と書きましたが、初めてだと戸惑うポイントがいくつかあります。事前に知っておけば焦らずに済みます。
QRコードの読み取りタイミングで迷う方が多いです。eSIMのQRコードは、購入後に「いつ読み取ればいいのか」がわかりにくいことがあります。基本的には出発前日までに読み取って設定を済ませておき、現地に着いてからeSIMの回線をONにするだけという流れが安心です。設定手順の詳しい解説はこちらにまとめています。
「モバイルデータ通信」の切り替えを忘れるケースも多いです。eSIMをインストールしただけでは、データ通信はまだ日本の回線を使っています。「設定」→「モバイル通信」→「モバイルデータ通信」で、海外用のeSIM回線に切り替える必要があります。
APNの設定が必要な場合があります。多くのeSIMサービスは自動でAPNが設定されますが、一部のサービスや機種では手動設定が必要です。設定画面は「設定」→「モバイル通信」→「eSIM回線」→「モバイルデータ通信ネットワーク」にあります。
繋がらない場合の対処はeSIMトラブルシューティングを参考にしてください。大抵の場合、機内モードのON→OFFか端末の再起動で解決します。
通信手段の費用比較(3泊4日の場合)
具体的な費用感がわかると判断しやすくなります。韓国3泊4日を例に、各通信手段の費用を比べます。
eSIM(Airalo)は1GBプランで675円から。3GBプランでも1,200円程度です。地図やメッセージが中心なら1GBで十分足ります。
eSIM(trifa)は1GBプランで730円から。日本語サポートが付いている分、Airaloよりやや高めですが、初めての方には安心感があります。
ポケットWiFi(グローバルWiFi)は1日あたり700〜1,100円程度で、3泊4日だと2,800〜4,400円になります。家族3〜4人でシェアすれば一人あたり700〜1,100円なので、人数が多いほどお得です。
現地SIMカードは、韓国の空港で購入すると5日間で3,000〜4,000ウォン(約3,000〜4,000円)程度です。eSIMと比べると割高で、購入の手間もかかります。
データローミング(キャリア)は、docomoの「世界そのままギガ」が24時間980円、auの「世界データ定額」が24時間980円です。3泊4日だと3,920円。手続きは簡単ですが、料金はeSIMの3〜5倍です。
各サービスの詳しい料金比較はeSIM主要5社の比較記事にまとめています。
まとめ:「eSIM + オフラインマップ」があれば大丈夫
初めての海外旅行で、通信環境に不安を感じるのは自然なことです。筆者も初めて海外に行ったとき、スマホが使えるかどうかが一番の心配事でした。
でも、今は本当にシンプルです。
eSIMをアプリで買って設定しておけば、飛行機を降りた瞬間からスマホが使えます。念のためGoogleマップのオフラインデータもダウンロードしておけば、万が一通信が途切れても地図は見られます。
この2つさえ準備しておけば、海外でスマホに困ることはほぼありません。
「まだよくわからない」「自分のケースではどうすればいいかわからない」という方は、以下の記事も参考にしてください。
よくある質問
海外旅行でスマホはそのまま使えるの?
eSIMって何?普通のSIMカードと何が違うの?
海外でネットが使えないとどんな困りごとがある?
設定が苦手でも海外でスマホを使える方法はある?
海外旅行のネット準備はいつから始めればいい?
eSIMとポケットWiFi、どっちが安い?
データローミングって何?勝手に使われたりしない?
SIMロックがかかっているスマホでもeSIMは使える?
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