ベトナム旅行のeSIM、現地SIMより高いのに選ぶ理由はあるか
正直なところ、ベトナムはeSIM選びが一番悩ましい国
ベトナムの通信手段を調べると、eSIMと現地SIMの価格差が目に入るはずです。タンソンニャット空港(ホーチミン)のSIMカウンターで買えるViettel SIMは7日間・10GBで約1,200〜1,800円。対してAiraloのeSIMは3GB / 30日で約750円。容量あたりの単価では、現地SIMに軍配が上がるケースがあります。
「じゃあ現地SIM買えばいいのでは」という話になりそうですが、そう単純でもありません。
空港のSIMカウンターは到着便が重なるとかなり混みます。パスポートの登録作業も含めると20〜30分はかかる。深夜便で疲れ果てている状態でSIMの設定をする気力があるかどうかは、旅のスタイルや体力次第です。
eSIMなら出発前に日本の自宅でインストールを済ませておけば、ホーチミンやハノイに降り立った瞬間からGrabを呼べます。到着直後にGrabが使えるかどうかは、ベトナム旅行のストレスを大きく左右するポイントです。
ベトナム全体の通信事情はベトナム旅行のネット環境ガイドにまとめてあります。
ベトナムの通信キャリア事情
ベトナムには3大キャリアがあり、それぞれカバレッジに特徴があります。eSIMがどのキャリアに接続されるかを知っておくと、自分の旅程に合った選択ができます。
Viettelは国内シェア約50%の最大手で、軍系企業が母体です。基地局の数が他2社より格段に多く、山間部・離島・農村部まで電波が届きます。サパの山岳地帯やハロン湾の船上でもViettel回線が最も安定しているという報告が多いです。
Mobifoneはシェア約25%の2番手。ホーチミンやハノイなどの都市部では快適に使えますが、地方部のカバレッジではViettelに劣ります。料金プランが安い傾向にあり、長期滞在のコスト重視ユーザーに選ばれています。
Vinaphoneはシェア約20%で3番手。こちらも都市部は問題ありませんが、地方での安定性はViettelに一歩譲ります。
eSIMを選ぶ際に重要なのは、「都市部しか行かないのか、地方にも出るのか」という旅程です。ホーチミンとハノイの市内だけなら、3キャリアのどれに接続されても体感差はほぼありません。サパ、ハロン湾、メコンデルタの奥地まで足を延ばすなら、Viettel系のeSIMを選んでおくのが安全です。
主要eSIM 4社のベトナム向け料金比較
2026年3月時点のベトナム向けeSIMプランを4社で比較しました。各社の料金比較はeSIM比較でも詳しく取り上げています。
| サービス | プラン | 料金 | 日本円目安 | 推定接続キャリア | テザリング | 日本語サポート |
|---|---|---|---|---|---|---|
| Airalo | 3GB / 30日 | $5.00 | 約750円 | Viettel系 | 可 | なし |
| Airalo | 5GB / 30日 | $9.00 | 約1,350円 | Viettel系 | 可 | なし |
| trifa | 3GB / 30日 | $12.00 | 約1,800円 | Viettel系 | 可 | あり(LINE) |
| Holafly | 無制限 / 5日 | $19.00 | 約2,850円 | Mobifone系 | 不可 | あり(チャット) |
| Ubigi | 3GB / 30日 | $8.00 | 約1,200円 | Viettel系 | 可 | なし |
参考: 空港SIM (Viettel) | 10GB / 7日 | 200,000-300,000 VND | 約1,200-1,800円 | Viettel | 可 | ベトナム語(一部英語)
Airaloの3GBプランが約750円で最安です。Ubigiは約1,200円で中間価格帯。trifaは約1,800円でほぼ空港SIMと同じ水準ですが、空港で並ぶ時間を省けてLINE日本語サポートが使えるので、実質的な差額は小さいとも考えられます。
Holaflyは無制限プランが魅力ですが、接続先がMobifone系であること、テザリング不可であること、5日間で約2,850円という価格を考えると、短期旅行でデータ量を気にせず使いたい方に限定されます。
空港の現地SIM vs eSIM — 正直な比較
ベトナムの2大国際空港での現地SIM購入事情と、eSIMとの比較を整理します。
タンソンニャット空港(ホーチミン・SGN)
到着ロビーを出ると、Viettel・Mobifone・Vinaphoneのカウンターが並んでいます。24時間営業ではなく、深夜便(23時以降到着)だとカウンターが閉まっていることがあります。日中のピーク時間帯は到着便が重なると15〜30分待ちになることも。
購入にはパスポートの提示が必要で、スタッフがSIMの挿入とAPN設定までやってくれます。料金はViettel 7日間・10GBで200,000〜300,000 VND(約1,200〜1,800円)が目安。ただし観光客向けプランは時期によって変わるので、表示価格を確認してから購入してください。
ノイバイ空港(ハノイ・HAN)
タンソンニャットと同様にSIMカウンターが到着ロビーにあります。ハノイは深夜着の便が少ないため、カウンター閉鎖の問題はホーチミンほど起きにくいです。ただし空港からハノイ旧市街までは車で40〜50分かかるため、移動中にGrabの予約やGoogle Mapsの利用ができないのは不便です。
eSIMが有利なポイント
深夜便で到着してもすぐに通信が使えます。SIMカウンターの行列を回避できます。物理SIMの入れ替え作業が不要なので、SIMトレイの紛失リスクもありません。帰国後にeSIMを削除するだけで日本のキャリアに戻れるのも手軽です。
現地SIMが有利なポイント
10GB / 7日で約1,200〜1,800円は、容量あたりの単価でeSIMより安いです。1週間以上の滞在でデータを大量に使う場合は、現地SIMの費用面のメリットが大きくなります。スタッフがセットアップまで完了してくれるので、eSIMの設定に自信がない方には現地SIMの安心感があります。
ベトナムでeSIMを選ぶ理由・選ばない理由
eSIMと現地SIMの判断を整理します。
eSIMを選ぶべき人
到着直後にGrabを使いたい人。ベトナムのタクシーはメーターを倒さない運転手やぼったくりが未だに存在します。Grabさえ使えれば料金が事前に確定するので、交渉のストレスから解放されます。到着ロビーからGrabが使えるかどうかは、eSIMか現地SIMかの一番わかりやすい差です。
SIMカードの差し替えに慣れていない人。物理SIMの抜き差しにはSIMピンが必要で、小さなSIMトレイを空港の人混みの中で扱うのは紛失リスクがあります。eSIMならスマホの設定画面で切り替えるだけ。
短期旅行(3〜5日)の人。短期なら3GBで十分足りるケースが多く、eSIMの料金(750〜1,800円)は現地SIMと大差ありません。手間の少なさを考えるとeSIMの方が合理的です。
現地SIMを選ぶべき人
1週間以上の滞在で、データ通信をたくさん使う人。10GBで1,200〜1,800円の現地SIMは容量単価で明らかに安い。長期滞在者やデジタルノマドには現地SIMが合理的な選択肢になります。
SIMカードの差し替えに抵抗がなく、空港での待ち時間が気にならない人。ベトナムの空港SIMカウンターのスタッフは手慣れていて、セットアップまでやってくれます。言葉の壁もパスポートを渡せば進むので、多少の行列に並べる余裕があれば問題ないでしょう。
ホーチミン・ハノイ・ダナン・サパの通信エリア事情
ホーチミン市内
4G LTEが全域をカバーしていて、通信環境は良好です。1区(ベンタイン市場周辺)、3区、7区のどこでもキャリア問わず安定した接続が得られます。カフェのWiFiも多く、Highlands CoffeeやThe Coffee Houseなど大手チェーンではフリーWiFiが使えます。渡航経験者のレビューでは、4G回線で下り40〜60Mbps程度が報告されています。
ハノイ市内
旧市街(ホアンキエム湖周辺)、タイ湖エリア、ロンビエン方面まで4G LTEが行き渡っています。ホーチミンと同様に通信環境は安定しています。ただし旧市街の路地裏は建物が密集しているため、屋内でやや電波が弱くなる場面があるようです。カフェでWiFiが使えるのでカバーは可能です。
ダナン・ホイアン
ダナン市内とホイアン旧市街はどちらも4Gがしっかり通じます。ミーケビーチ沿いのリゾートエリアも問題ありません。バーナーヒルズ(ゴールデンブリッジ)は山頂のテーマパークですが、観光客が多いため通信インフラは整備されています。
サパ(ラオカイ省)
ここがキャリア選びの分かれ目です。サパの町中はViettel・Mobifone・Vinaphoneとも4Gが通じますが、トレッキングルート上ではViettel以外の電波が途切れるエリアがあります。カットカット村やタヴァン村あたりの谷間では、Viettelのみ3G/4Gが入るという報告が複数あります。サパに行く予定があるなら、Viettel系のeSIM(AiraloまたはTrifa)を選んでください。
ベトナム旅行でのデータ使用量目安
旅行中にどれくらいのデータを消費するか、主要アプリごとの目安をまとめます。
| 用途 | 1日あたりの目安 | 備考 |
|---|---|---|
| Grab(配車 + 地図表示) | 50〜100MB | 1日5〜6回利用の場合 |
| Google Maps(ナビ) | 20〜50MB | オフラインマップをダウンロードしておけば節約可能 |
| LINE / Zalo(メッセージ + 通話) | 30〜100MB | 音声通話を含む場合 |
| SNS(Instagram / X 閲覧) | 100〜300MB | 動画の自動再生をオフにすると節約できます |
| Web検索(レストラン・観光情報) | 30〜50MB | — |
| 合計(標準的な1日) | 300MB〜600MB | 動画視聴なしの場合 |
ホーチミンやハノイの市内観光中心なら、1日500MB前後が目安です。5日間の旅行で3GBあれば足りる計算になります。
ただし、ホテルの部屋でNetflixやYouTubeを観る習慣がある方は話が変わります。動画のストリーミングは1時間あたり1〜3GB消費するので、eSIMのデータでまかなうのは現実的ではありません。ホテルのWiFiを使うか、Holaflyの無制限プランを選ぶか、割り切りが必要です。
Grabの重要性とネット接続の関係
ベトナム旅行におけるGrabの存在は、日本でいうSuicaやGoogle Mapsに匹敵するレベルで生活インフラになっています。Grabが使えるかどうかで旅行の快適さが根本的に変わるので、ネット接続の選択もGrab利用を前提に考えるべきです。
ベトナムのタクシー事情は改善傾向にあるものの、メーターを倒さない・遠回りする・高額を請求するといったトラブルは依然として報告されています。Grabなら乗車前に料金が確定し、ルートもアプリ上で追跡できます。支払いもアプリ内で完結するので、現金のやりとりでのトラブルも回避できます。
特にタンソンニャット空港(ホーチミン)からの移動は要注意です。到着ロビーを出た瞬間に「タクシー?」と声をかけてくるドライバーが多数います。ホーチミン市内まで通常200,000 VND前後(約1,200円)の距離ですが、倍額以上を請求されるケースも珍しくありません。
eSIMがあれば、到着ロビーのWiFiに接続する必要もなく、即座にGrabを起動して配車を依頼できます。これがeSIMの実質的な価値であり、「到着直後の安心感」に対して750〜1,800円を払う価値があるかどうかが判断基準です。
Grabはベトナムではタクシーだけでなく、バイクタクシー(GrabBike)やフードデリバリー(GrabFood)にも対応しています。ホーチミンの渋滞がひどい時間帯はGrabBikeの方が速いことも多く、ネット接続がなければこうした選択肢も使えません。
なお、Grabの利用にはベトナムの電話番号は不要で、日本の電話番号で登録したアカウントがそのまま使えます。必要なのはデータ通信だけです。
回線(キャリア)で選ぶ視点
ベトナムのeSIM選びでは「どのキャリアの回線に接続されるか」が見落とされがちですが、地方に出る予定があるなら重要なポイントです。
Airalo、trifa、UbigiはいずれもViettel系の回線に接続される可能性が高い。一方でHolaflyはMobifone系に接続されるケースが報告されています。Mobifoneは都市部では問題ありませんが、ホーチミンやハノイを出る予定がある方はViettel系のeSIMを選んでおくほうが安心です。
ホーチミン市内に限定すれば、キャリアによる体感差はほぼないと考えて大丈夫です。渡航経験者のレビューでは、ホーチミン市内の4G回線で下り40〜60Mbps程度が報告されています。SNS、地図、Grabの利用には十分すぎる速度です。
旅行スタイル別のおすすめ
ホーチミン or ハノイ 3泊4日(市内観光のみ)
Airaloの3GBプラン(約750円)で足ります。ホーチミン市内の移動はGrabとGoogle Mapsが中心になるので、データ消費はそこまで多くなりません。カフェのWiFiも補助的に使えます。
ホーチミン + ダナン(2都市周遊)
Airaloの5GBプラン(約1,350円)をおすすめします。移動中にもネット接続が必要になる場面が増えるのと、ダナンのビーチエリアではカフェWiFiに頼りにくいためです。
ハノイ → サパ or ハロン湾(地方まで足を延ばす)
Viettel系のeSIM(Airalo 5GBかtrifa 3GB)を選んでください。サパはハノイから車で5〜6時間の山岳地帯で、Viettel以外のキャリアでは圏外になるエリアがあります。ハロン湾クルーズの船上でもViettel回線が最も安定しているとされています。
eSIMが初めての方
trifaの3GBプラン(約1,800円)を選んでください。LINEでの日本語サポートがあるので、設定で困ったときに日本語で質問できます。eSIMの仕組みに慣れてしまえば、次回からはAiraloの安いプランに切り替えれば十分です。最初の1回はサポート付きで安心を買い、2回目以降は費用対効果で選ぶ。この順番が合理的です。
eSIMの初期設定に不安がある方はeSIM設定ガイドをあらかじめ確認しておくと、当日スムーズに進みます。
ベトナムでのVPN事情
ベトナム政府はインターネットの検閲を実施しており、一部のニュースサイトやブログがブロックされることがあります。ただし中国ほど厳格ではなく、Google、LINE、Instagram、Facebook、WhatsAppなど旅行者が使う主要サービスは2026年時点で問題なくアクセスできています。
VPNが必要になる場面は主に2つ。
一つはホテルやカフェのフリーWiFi利用時のセキュリティ対策。ホーチミンのブイビエン通り周辺(バックパッカー街)やハノイ旧市街のカフェは利用者が多く、暗号化されていないWiFiも珍しくありません。ネットバンキングやクレジットカード情報の入力は避けるか、VPNを通してから行うのが安全です。
もう一つは、日本のNetflixやTVerを旅先で観たい場合。これはVPNで日本のサーバーに接続すれば解決できます。
VPNサービスの選び方は海外旅行用VPN比較にまとめています。
eSIMの購入・設定の流れ
Airaloを例にすると、購入から利用開始まで15分もかかりません。
- Airaloアプリ(またはWeb)でベトナムを選択し、3GBまたは5GBプランを購入
- 購入完了後に表示されるQRコードを自宅WiFi環境でスマホに読み取り、eSIMをインストール
- インストール後はデータ回線をオフにしたまま出発
- ベトナム到着後、設定からeSIMの回線をオンにし、データローミングを有効化
- 帰国後にeSIMを削除し、日本のキャリア回線に戻す
eSIMの「インストール」と「アクティベーション」は別の操作です。インストールは日本の自宅で完了させ、アクティベーション(データ通信の有効化)は現地で行う。この区別さえわかっていれば、つまずくことはほぼありません。
詳しい画面付き手順はeSIM設定ガイドを参照してください。帰国後に日本の回線に戻す手順も解説しています。
eSIMか現地SIMか、判断のまとめ
ベトナムは「現地SIMが安すぎてeSIMの存在意義が問われる国」です。正直に言うと、SIMカードの差し替えに慣れている旅行者なら現地SIMのほうが費用対効果は高いケースがあります。
それでもeSIMを推奨するのは、到着直後のGrab利用という明確なメリットがあるからです。ベトナムのタクシー事情を考えると、Grabをすぐに使えるかどうかは旅行の快適さに直結します。空港を出てからSIMカウンターで30分並ぶか、降りた瞬間にGrabを呼ぶか。この差は値段の数百円以上の価値があると考えています。
3GB以内で収まる短期旅行ならAiralo。eSIM初体験ならtrifa。それぞれのサービスの詳しいレビューは下記の記事も参考にしてください。
ベトナム旅行の通信手段全般についてはベトナム旅行のネット環境ガイド、海外旅行向けのクレジットカード選びは年会費無料のおすすめカード比較で詳しく解説しています。
よくある質問
ベトナムのeSIMはどのキャリアに接続される?
ベトナムの現地SIMはいくらくらい?
ベトナム旅行でVPNは必要?
ベトナムのeSIMは何GBあれば足りる?
eSIMとポケットWiFi、ベトナムではどちらがいい?
Grabが使えないとベトナム旅行はどうなる?
ベトナムでeSIMのデータを使い切ったらどうなる?
ダナンやフーコック島でもeSIMは使える?
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