VPNって何?海外旅行に必要?初心者にゼロからわかりやすく解説
「VPNって何?」という疑問にゼロからお答えします
「VPNって聞いたことあるけど、何のことかよくわからない」
海外旅行の準備をしていると、「VPNを入れておいたほうがいい」というアドバイスを目にすることがあります。でも、そもそもVPNが何なのか、自分に必要なのかがわからないと、判断のしようがありません。
筆者も初めて海外に行ったときは、VPNという言葉の意味すら知りませんでした。当時の筆者に説明するつもりで、VPNをゼロからわかりやすく解説します。
VPNとは何か、日常の例えで説明します
VPNは「Virtual Private Network(バーチャル・プライベート・ネットワーク)」の略です。日本語にすると「仮想の専用回線」ですが、これだけ聞いてもピンとこないですよね。
身近なもので例えます。
普段のインターネット通信は「はがき」のようなものです。はがきは配達の途中で、郵便局の人や道中の誰かが内容を読もうと思えば読めてしまいます。同じように、暗号化されていない通信は、途中で第三者に中身を覗かれる可能性があります。
VPNを使った通信は「封をした封筒」に入れて送るようなものです。中身が見えないので、途中で誰かが覗こうとしても内容はわかりません。さらに、差出人の住所(あなたの現在地の情報)も隠すことができます。
もう少し踏み込むと、VPNなしの通信は「透明なパイプ」を通って相手に届くイメージです。パイプの外から中を流れるデータが丸見えになります。VPNをオンにすると、その透明なパイプの中にもう1本、不透明な専用パイプが作られます。外側のパイプから覗いても、内側のパイプの中身は見えません。これが「トンネリング」と呼ばれる技術です。
さらに、そのパイプの中を流れるデータ自体も暗号化されます。万が一トンネルに穴が開いたとしても、中を流れるデータは意味不明な文字列に変換されているので、読み取ることはできません。
つまり、VPNには大きく2つの役割があります。
- 通信の中身を暗号化して、第三者に読まれないようにする
- 自分がどこからインターネットに接続しているかを隠す
この2つ目の「接続元を隠す」機能があるおかげで、海外にいても「日本からアクセスしている」ように見せかけることができます。これが海外旅行者にとって重要な点です。
VPN接続の仕組み:裏側で何が起きているか
技術的な話に興味がない方は読み飛ばしても問題ありません。ただ、仕組みを知っておくと「なぜ無料VPNが危険なのか」の理解が深まります。
VPNに接続すると、以下の3つのことが順番に起こります。
1つ目。スマホと VPN会社のサーバーの間に、暗号化された専用の通信路(トンネル)が作られます。
2つ目。あなたがWebサイトを見たり、LINEを送ったりすると、そのデータはまずトンネルを通ってVPNサーバーに届きます。途中のフリーWiFiの管理者や、同じネットワーク上の他人には、暗号化されたデータしか見えません。
3つ目。VPNサーバーがあなたの代わりに目的のサイトにアクセスします。サイト側から見ると、アクセス元はあなたのスマホではなくVPNサーバーの所在地(たとえば日本)になります。
この仕組みから、1つ重要なことがわかります。VPN会社のサーバーは、あなたの通信内容を技術的には見ることができるという点です。だからこそ、信頼できるVPN会社を選ぶことが大切で、無料VPNに安易に飛びつくのは危険なのです。
海外旅行でVPNが活きる3つのシナリオ
VPNの仕組みがわかったところで、実際の利用シーンです。海外旅行中にVPNが役立つ場面は、主に3つあります。
シナリオ1:中国でLINEやGoogleを使いたいとき
中国では政府の規制により、LINE、Instagram、X(旧Twitter)、Google検索、Googleマップ、YouTube、Netflixなど、日本で日常的に使っているサービスの大半が使えません。
VPNを使って日本のサーバーを経由すれば、これらの規制を回避してサービスを利用できます。中国に行く方にとって、VPNは「あると便利」ではなく「ないと困る」ものです(中国旅行の通信準備はこちら)。
筆者は上海滞在中、VPNなしでGoogleマップが使えず、知らない街で30分さまよった経験があります。あの焦りは二度と味わいたくありません。
シナリオ2:フリーWiFiを安全に使いたいとき
ホテルのロビー、空港、カフェなどのフリーWiFiは、通信が暗号化されていないことがあります。暗号化されていないWiFiでは、同じネットワークにつないでいる第三者が、あなたの通信内容を盗み見る技術的な手段を持っている場合があります。
VPNを使えば、フリーWiFiに接続していても通信が暗号化されるため、のぞき見のリスクを大幅に減らせます(フリーWiFiのリスクと対策はこちら)。
ただし、eSIMやポケットWiFiで自分専用の通信回線を持っている場合、フリーWiFiに接続する場面自体が少なくなります。その場合はVPNの優先度は下がります。
シナリオ3:海外から日本の動画配信サービスを見たいとき
Netflix、Amazon Prime Video、TVer、ABEMAなどの動画配信サービスは、著作権の関係で、海外からのアクセスでは視聴できないコンテンツがあります。
VPNで日本のサーバーに接続すれば、「日本からアクセスしている」と認識されるため、日本向けのコンテンツを視聴できる場合があります。ただし、サービス側もVPN経由のアクセスを検知してブロックするケースが増えているため、確実に見られるとは限りません。
長期出張でどうしてもTVerを見たい、という方にはVPNの価値がありますが、3〜5日の旅行なら現地を楽しんだほうがいいというのが筆者の正直な感想です。
実はVPNが「いらない」ケースも多い
ここまでVPNの便利な面を説明してきましたが、正直にお伝えすると、海外旅行者の多くはVPNなしでも問題なく過ごせます。
eSIMやポケットWiFiで自分専用の通信回線を使っている場合、フリーWiFiに接続する場面はほとんどありません。自分専用の回線はもともと暗号化されているため、セキュリティ面でVPNを追加する必要性は低いです(eSIMサービスの比較はこちら)。
また、中国を除くアジアの主要な旅行先(タイ、韓国、台湾、ベトナム、シンガポール、マレーシアなど)では、LINE、Google、SNSなどのサービスは制限なく使えます。
整理すると、以下のようになります。
VPNが必要な人は、中国に渡航する方、フリーWiFiを頻繁に使う予定の方、海外から日本の動画配信を見たい方です。
VPNが不要な人は、eSIMやポケットWiFiで自分専用の通信回線を持っている方、中国以外のアジア圏への旅行者、動画配信の視聴にこだわらない方です。
筆者の個人的な判断基準としては、「中国に行くかどうか」がVPNの要否を分ける最大のポイントです。中国以外の国に行く場合は、eSIMで自分の回線を確保しておけば、VPNなしでも安全に過ごせます(海外旅行の通信準備ガイド)。
無料VPNの具体的なリスク:タダには理由がある
「有料を買う前に、まず無料VPNを試したい」という気持ちはわかります。ただ、無料VPNにはかなり深刻なリスクがあります。
VPN会社はサーバーの維持費がかかります。世界中にサーバーを置いて、大量の通信を中継するには、相応のコストが必要です。有料VPNはユーザーの月額料金でこのコストを賄っています。では、無料VPNはどうやって稼いでいるのか。
答えは単純で、多くの無料VPNはユーザーのデータを売って収益を得ています。
2020年、無料VPNサービス7社から約2,000万人分のユーザーデータ(メールアドレス、接続ログ、端末情報など)が流出した事件がありました。これらのサービスは「ログを保存しない」と公言していたにもかかわらず、実際にはユーザーの行動データを記録し、第三者に販売していたことが判明しています。
セキュリティを守るために入れたVPNが、逆にデータを抜いていたというのは笑えない話です。
無料VPNの主なリスクを整理すると、次の3つになります。
- 通信ログや閲覧履歴を広告業者やデータブローカーに販売している
- 通信速度が極端に遅く、動画はもちろん地図アプリすらまともに動かない
- マルウェア(悪意のあるソフト)が仕込まれているケースが報告されている
月額400〜500円で信頼できるVPNが使えるのに、無料で危険を冒す理由はありません。海外旅行の保険だと思えば安い出費です(無料VPNの危険性についての詳しい解説)。
VPN選びで失敗しないための3つのチェックポイント
VPNサービスは数が多く、どれを選べばいいか迷います。筆者が32か国を旅してきた経験から、チェックすべき点を3つに絞りました。
チェック1:ノーログポリシーが第三者監査を受けているか
VPN会社が「ログを保存しません」と宣言しているだけでは不十分です。本当にログを保存していないかは、外部の監査法人が検証しているかどうかで判断できます。NordVPNはDeloitte(デロイト)の監査を受けており、この点で信頼性が高いです。
チェック2:渡航先の国にサーバーがあるか
VPNの速度は、接続するサーバーとの距離に大きく影響されます。日本のサーバーに接続したい場合は当然として、渡航先の国にもサーバーがあると、現地のWebサイトの閲覧が快適になります。サーバー設置国数が多いサービスを選んでおけば、どの国に行っても困りません。
チェック3:返金保証があるか
VPNは実際に使ってみないと、自分の用途に合うかわかりません。30日間の返金保証があるサービスなら、出発前に試して合わなければ解約できます。NordVPNとMillenVPNはいずれも30日間の返金保証を提供しています。
VPNサービス3社の比較
VPNが必要だと判断した方のために、筆者が実際に使ったことのあるサービスを3つ紹介します。
NordVPN(ノードVPN)
初めてVPNを使う方に最もおすすめできるサービスです。アプリの操作が直感的でわかりやすく、日本語にも対応しています。通信速度が速く、世界111か国にサーバーがあるため、中国からの接続にも対応しています。2年プランを選ぶと月額換算で400〜500円程度になり、費用対効果も良好です(NordVPNの詳しいレビューはこちら)。
MillenVPN(ミレンVPN)
日本企業が運営するVPNサービスです。サポートが完全日本語対応で、英語に不安がある方には安心感があります。中国からの接続にも対応しており、日本人旅行者に特化した作りになっています。海外サービスに抵抗がある方は、まずMillenVPN公式サイトを確認してみてください。
Surfshark(サーフシャーク)
NordVPNと同等の機能を、より安い料金で提供しているサービスです。接続できる端末数に制限がないため、家族全員のスマホに入れたい場合に向いています。2年プランで月額300円台から利用できます。
迷ったらNordVPNを選んでおけば間違いありません。初心者でも使いやすく、料金と性能のバランスが取れています。各サービスの詳しい比較は、VPNサービス比較ページにまとめてあります。
VPNの設定方法(3ステップ)
「VPNの設定って難しそう」と思うかもしれませんが、実際にやることはアプリをインストールして接続ボタンを押すだけです。ここではNordVPNを例に説明します。
ステップ1:アプリをインストールする
NordVPN公式サイトでプランを購入し、アカウントを作成します。その後、スマホのApp Store(iPhone)またはGoogle Play Store(Android)で「NordVPN」を検索してアプリをインストールします。
ステップ2:ログインして接続先を選ぶ
アプリを開いて、登録したメールアドレスとパスワードでログインします。画面に世界地図が表示されるので、接続したい国(日本の動画を見たいなら「Japan」、とにかく安全に使いたいなら「Quick Connect」)をタップします。
ステップ3:接続ボタンを押す
接続先を選んだら、画面中央の接続ボタンをタップするだけです。画面上部に鍵のマークやVPNのアイコンが表示されたら、接続完了です。これで通信が暗号化されています。
出発前に一度、日本にいる間に接続テストをしておくことをおすすめします。現地でアプリの使い方に戸惑うことがなくなります。
まとめ:まずは「自分にVPNが必要か」を判断する
VPNは便利なツールですが、すべての海外旅行者に必須というわけではありません。
中国に行く方はVPNを必ず準備してください。LINEもGoogleも使えなくなるため、VPNなしでは不便を通り越して困ります。
中国以外の国に行く方は、eSIMで自分専用の通信回線を確保しておけば、VPNがなくても安全にスマホを使えます。フリーWiFiを多用する予定がある方や、日本の動画配信を見たい方だけ、VPNの導入を検討すれば十分です。
無料VPNだけは避けてください。セキュリティのために入れたツールがデータを抜いていたのでは本末転倒です。 月額400〜500円の有料サービスを選ぶことが、結果的に自分を守ります。
VPNの具体的な設定手順をもう少し詳しく知りたい方は、VPN設定ガイド(図解付き)で画面キャプチャ付きで説明しています。無料VPNのリスクについては無料VPNの危険性で詳しく解説しています。フリーWiFiのセキュリティリスクの具体例はフリーWiFiの安全対策をご覧ください。
「まだインターネットの準備自体がこれからだ」という方は、まず海外旅行の通信準備ガイドを読んでみてください。VPNよりも先に、eSIMやポケットWiFiで通信手段を確保するほうが優先度は高いです。
よくある質問
VPNは無料のものでも大丈夫?
VPNを使うと通信速度は遅くなる?
VPNを使うのは違法?
eSIMを使っていればVPNはいらない?
VPNはスマホだけで使える?パソコンにも必要?
VPNを接続したまま忘れていたらどうなる?
ホテルのWiFiならVPNは不要?
VPNアプリを入れたら勝手に通信が保護される?
1つのVPN契約で家族も使える?
日本のVPNサービスと海外のVPNサービス、どちらがいい?
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